保護犬の銀次ちゃんのご葬儀を執り行わせていただきました。
ご家族様から伺った、銀次ちゃんとの出会い、そして共に歩まれた日々のお話は、私の胸を激しく揺さぶり、そして最後には溢れるほどの温かさで満たしてくれました。本日は、その大切な思い出を少しだけ共有させてください。
極寒の隙間で、震えていた小さな命
銀次ちゃんとご家族様との出会いは、ある年の「2月」のことでした。 ご家族様の家のすぐ近くにある田んぼに、銀次ちゃんは置き去りにされていたそうです。
2月の寒さは、人間の想像を絶する厳しさです。銀次ちゃんは冷たい風を少しでもよけるために、小さな隙間に必死に身をうずめていたといいます。 足にも怪我を負っており、まともに歩くことすらできない状態でした。
「この子を助けたい!」 「この子を絶対に幸せにしてあげたい!」
そんな温かく、強い想いでご家族様は銀次ちゃんを保護されました。 しかし、現実は甘くありませんでした。保健所に確認したところ、「怪我をしている子は譲渡の対象にならない」と告げられたのです。
普通なら、そこで諦めてしまうかもしれません。 ですがご家族様は違いました。銀次ちゃんを我が家に迎えるために、愛護センターで飼育の講習まで受講し、正式に家族として引き取られたのです。その深い慈愛と行動力には、本当に頭が下がる思いです。
ゼロから知った、愛される喜び
病院の先生からは「おそらく、繁殖引退犬ではないか」と言われたそうです。
おうちに迎えた当初の銀次ちゃんは、ボールを見ても遊び方がわかりませんでした。 リードをつけても、歩き方がわからない。お散歩の仕方もわからない。 これまで、どのような環境で、どんな扱いを受けてきたのか……。
「命」を、なぜそんなに簡単に投げ出して、置いていくことができるのだろう。
銀次ちゃんがそれまでどれほど孤独で、大変で、怖い思いをしてきたのかを想像すると、私は胸が締め付けられるような思いがしてなりませんでした。
けれど、ご家族様のもとで暮らし始めた銀次ちゃんは、そこからずっと、途切れることのないたくさんの愛情を注がれました。
最初は何も知らなかった銀次ちゃんが、ご家族様の温かい手のひらを通じて、ひとつずつ「嬉しいこと」「楽しいこと」を覚えていったのだと思います。 つらい過去を遥かに超えるほどの、たくさんの「ありがとう」に包まれた後半生でした。 こんなにも素晴らしいご家族様に出会えて、本当に本当によかったね、銀次ちゃん。

「終生飼育」の在り方を、もう一度
今回の銀次ちゃんのご葬儀を通じて、私は改めて強く思いました。
「終生飼育」
この言葉の持つ本当の重み、その意味を、私たちはもう一度立ち止まって、しっかりと、真剣に考えなければなりません。 命を預かるということ。その命を、最期の瞬間まで愛し抜くということ。
ペット葬祭に携わる者として、そして一人の人間として、私にできることがあるならば、これからもこのメッセージを大切に発信し続けていきたいと、決意を新たにいたしました。
銀次ちゃん、本当にお疲れ様。 これからはお空の上で、痛む足も忘れて、思いっきり走り回ってね。 優しいご家族様に見守られながら、どうぞ安らかにお眠りください。
心より、ご冥福をお祈り申し上げます。
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